妊娠力をアップさせる漢方
月経痛や冷え性をはじめ、さまざまな子宮のトラブルの改善にも漢方はパワーを発揮。
漢方薬を上手にりようして、妊娠しやすい体づくりを目指しましょう。
漢方では、体は「五臓六腑」とそこを巡る「気・血・水」から成り立つと考え、そのバランスで体質や体調を診断します。
生理痛や冷え性、むくみなど、西洋医学では病気と扱わない症状を根本から診るのも漢方の大きな特徴です。
未病のうちから治療する考え方や、その人に不足している力を補ってバランスを整え体質改善を目指す考え方があるため、妊娠に向けた体づくりにおおいに役立ってくれるのです。
不妊治療の段階でも漢方を併用しても問題ありません。
最近は、男性不妊にも漢方が役立った例も多く見られます。
漢方の中には、妊娠中は避けたほうがいいものもあるので、服用中に妊娠したらすぐに医師に相談しましょう。
妊娠力をアップさせる漢方
l●妊娠力をつけたい時
妊娠するためには自らの生命力を維持すると同時に赤ちゃんを成長させるための”余力”が必要。漢方の生命エネルギー「気」と「精」が大きく関わり、それらの滞りや不足がある場合に漢方薬で補う。
★おススメ漢方
四君子湯・六君子湯・・気が不足する「気虚」の代表的な漢方。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・・胃腸を丈夫にし、気を補う
八味地黄丸・・エネルギーの不足状態「腎虚」を補う代表的な漢方。
●子宮や卵巣の力をつけたい時
漢方では、子宮や卵巣の力は「血」が司っていると考えます。
血が不足した状態「血虚」や血が滞った状態「瘀血」をそれぞれの症状や体質に合わせて補います。
血のめぐりをよくすることで冷え性など乃改善も見込めます。
★おススメ漢方
四物湯(しもつとう)・・卵巣の働きをよくする。血を補う代表的な漢方薬。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・・黄体機能・卵巣機能の改善、むくみの改善。
温経湯(うんけいとう)・・冷えと乾燥が強い場合に。妊娠反応が出たらすぐ服用中止
●ストレスをゆるめる
漢方では古くから、ストレスが卵巣機能に影響を与えると考えられています。
強いストレスを受けた体の状態、イライラや胸のつかえを「気」が滞った「気滞」と考え、気の流れをスムーズにする漢方を処方します。
★おススメ漢方
四逆散(しぎゃくさん)・・気滞治療の代表的な漢方薬。
加味逍遥散(かみしょうようさん)・・イライラして怒りっぽい、体がカッと熱くなるときに。
女神散(にょしんさん)・・期待と不安が強くて疲れてしまう人に。
抑肝散(よくかんさん)・・自分を責める人に。
●月経不順を改善したい時
月経周期が極端に短い、長い、月経がないなどを月経不順といいます。
無排卵や排卵までの期間が長いなど排卵障害によるものが多く、原因はさまざま。
症状や原因に合わせ、「血」を補います。
★おススメノ漢方
四物湯(しもつとう)・・血虚の治療の基本的な漢方。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・温経湯(うんけいとう)・柱枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)などは血を補い、ホルモン環境を整えます。冷え症の改善にも。
●子宮内膜症を改善したい時
子宮の内膜にある内臓組織が子宮の筋層や卵巣、腹腔内などで増殖・発育する病態。
漢方では子宮内膜症は余分な血の滞りと考え、「瘀血」の治療を行います。
下腹部痛や冷えなどの改善薬と併用することも多いです。
★おススメの漢方
柱枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・・血流を活性化し冷え症にも効果的。瘀血の治療の基本的な漢方薬。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)・・血行と水分環境を改善する生薬や子宮内膜症にともなう痛みを軽減する生薬が配合されている漢方薬。
●多のう胞性卵巣症候群を改善したい時
卵巣内で卵胞がうまく育たず、排卵しづらい病態で、痩せすぎや肥満の人に多いのも特徴です。
症状として多い月経異常を整えるために「血」を補うほか、体重の加減を調整するだけで改善されることもあります。
★おススメの漢方
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)・・肥満の治療に。
防巳黄耆湯(ぼういおうぎとう)・・水太りに。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)・芎帰
調血飲(きゅうきちょうけついん)・・痩せている人の「瘀血」改善に。
以上を参考にして妊娠力をアップさせる漢方薬を使いこなしましょう!